たわけどものたわ言

マクロン政権が燃料税の引き上げを宣言したことに端を発するこの度のデモは1968年にあった五月革命に匹敵する規模という。フランス全土に反グローバルの動きが本格的となり、ヨーロッパ全体がナショナリズムへの回帰を計るのは確実で、反政府デモは、更に隣国のベルギー、オランダに飛び火している。
ヨーロッパ域内のグローバル化がもたらしたものは、人モノサービスの移動の自由化と引き換えに、東ヨーロッパからの移民流入に伴う賃金低下と、WTOに加盟した中国やベトナムなどの発展途上国からの過剰な輸入による熾烈な価格競争、治安の悪化、更に通貨の統一による財政金融主権の喪失といったものばかりで、将来に禍根を残すものばかりである。
マクロン政権は、五月革命のとき、ド・ゴール政権が倒れたときと同じ結末を迎えるか、もしくは、フランス革命の時のように特権階級の凄惨たる公開処刑で終わるのか?ーいずれにしても多国籍企業代理人でしかないマクロンの退任は確実だろう。そして、ヨーロッパ全土に反EUの動きは弾みをつけて止まることはないだろう。何につけてもグローバル化の終わりは、革命か戦争かという悪夢のような悲劇で過去は幕を閉じるしかなかった。しかし今度のグローバル化が厄介なのは、主要国だけに留まらず、東南アジア、中東、アフリカの国々までもが当事者であり、更には核兵器まである。これでは過去のような大っぴらな解決策は取れず、さてどうしたものかと今の世の指導者は煩悶しているのである。残念ながら今後20、30年近くは混乱を呈するのが関の山であろう。
ヨーロッパに比べて比較的グローバル化していない日本はまるで白痴にでもなったかのように世界の潮流とは逆にグローバル化へ向けてせせこましく動いている。きっとこの国が没落し焼失するのも時間の問題であろう。
ブリュッセルにあるEU本部のお偉いさんたちは、見せしめとしてEU離脱を表明したイギリスに対し、無理難題を押し付けている有様で、離脱を達成するには困難ばかりであることを他国の反EU派に知らしめようとしている。
グローバル化経済における交渉や協定、条約などには、加入の意思を表明した時点で飲み込まれてしまうのがオチで、国内の反発があって離脱なんてしようものなら相当な違約金、あるいは、途方も無い交渉をこさなくてはならない。(グローバリズムから脱却することなぞ、アメリカに隷従している日本政府ができるはずもなく、きっと身包み剥がされるだろう。安全保障の首元をアメリカに抑えつけられた日本にやれることは、ただアメリカ政府に従うことだけである。悲しいかな、今やアメリカの覇権国家としての地位が相対的に低下している中、世界第二位の経済力を誇る中国との戦争をやる気なんて更々ないのだ。ただアメリカは国益のために動くのであり、日本国民のために動くことなんてまず有り得ない。)
最近話題の水道の民営化もその例に漏れず、民営化された水道サービスに不満を持った住民と自治体が再度水道事業を公営化しようものなら、相当な違約金を税金から水道メジャーに払う羽目になるのだ。水道運営でもたらされた利益は株主への配当金と化すというのに、住民にはその利益について文句はいえない。だって、民間企業が行うことであるから。
民営化なんて言葉に騙されたらいけない。
民営化とは、すなわち、公共財を個人の私有財産にするだけである。しかも、個人の利益のために。
このようにグローバル世界は醜く、金がものをいい、国家主権をもそれに屈しなくてはならない。それにも関わらず、水道民営化について抗議運動が日本では起きなかった。民営化されるからには良くなるに違いないという神話がまだ極めて強いようだ。
経世済民よりもビジネスを優先した結果、その国はどうなるのかという実験が、ヨーロッパやアメリカで失敗してきたのにも関わらず、また中国の覇権主義的行動がビジネスの世界にも広がっているのにも関わらず、この度の首相の訪中に同行している日本のビジネスマンたちの姿は本当に滑稽でしかなかった。ネギを背負った鴨ではないか?中国の狙いは軍事技術に日本企業を利用することがここまで明らかであるのに、金儲けのために、彼らは先人の遺産を売り渡したのだ。これを売国奴と言わずなんという?
ここまで世間の趨勢について書いていったが、全く今後の見通しが暗く、鬱になる。
生きなくてはならないが、次回の消費増税で確実に日本はデフレからの脱却なんて出来ないことを分かっていながら労働に従事するなんてほんまにアホらしいもので、年々下がりつつ給与のために働くことにほとほと嫌気がさすものです。