自己責任論についてのこと

昨年は殊更、コロナ禍という、誰も責めることなどとでもできない緊急事態にも関わらず、自分を責め続け苦しんでいる人たちが多いように思われた。日本の最高権力者であり、日本人の生活を預かる総理大臣ですら、「自助」を強調して、国民の困窮に手を差し伸…

日本維新の会の躍進に関すること。

国民民主党とれいわ新選組が、先進国で唯一日本だけが停滞している実質賃金や税と社会保障の負担がもたらす可処分所得の減退などといった貧困問題への解決に向けて、具体的な道筋のついた政策を立案して選挙に臨み、僅かではあったものの、議席数を伸ばした…

総選挙に関すること。

総選挙も終わったので日本の貧困問題について改めて考察する。選挙結果からして、岸田内閣では、この問題の解決はまず難しいだろう。もうこれは確定事項だ。報道で見る限り、日本が良くなることは、これから30年間はとても期待できないでしょう。 日本人の…

生きる歓びの喪失についてのこと。

先日大阪であったカラオケパブの女性経営者殺害事件について、いろいろな憶測が飛び交っている。 これを痴情の縺れといえば、一部分だけを見ればそうだろうとは思うものの、相手の好意にのみに一々左右される歪んだ自尊心に、いい歳をしたおっさんが散々苦し…

善人ぶる不孝者

いつの世にも何かと面倒を見たり、苦言を申し立てたり、果ては非難めいたことを言い募ったりと、他人に対して何かせねば気が済まぬ人という者がある。 新型コロナウイルスのことを交えて話せば、マスクをせぬ者を自分勝手だのなんだのと頭ごなしに非難する者…

コロ、コロ、コロナ

日が暮れると、わが街のテレビ塔は、閑散とした街の寂しげな雰囲気とは対照的に、新型コロナウイルス感染拡大を警告するべく、赤や黄、白などの派手な色に彩られる。4月下旬の第一波、7月下旬の第二波の感染拡大を阻止すべく発布された緊急事態宣言が解除さ…

世間胸算用

名古屋の繁華街の近くに住んでいると、人間の本質、つまり人間の欲深さ、嫉妬深さ、劣等感、癒しきれない孤独感といったものを垣間見る機会が特段多く、現代のありふれた文学作品や音楽などに見られる自我の誇示というものがいかにくだらないもので、なんら…

中流意識から派生する問題について

私が中流意識に馴染めない人間と気づいたのは、大学に入ってすぐのことだった。 学校に行けば、どうも皆他人行儀で、親近感も持てないし、行ったら行ったで、何処と無く世間の空気に流されている感じがして嫌になってくる。やがて疎外感だけが強くなる感覚ば…

アメリカの民主主義

この度、今後の日本の命運を左右する可能性が極めて高い参院選が近いこともあって、トクヴィル 著「アメリカのデモクラシー」を読み返す。 初めて読んだときは、第二巻のほうが第一巻よりも面白かったという印象があったから、第二巻を中心に読み返したが、…

私の遍歴

私がある大手新聞社の最終面接で落ちた理由は、消費増税とTPP交渉参加の是非を巡る議論で、その場で元財務官僚と国立大の経済学部の元大学教授の二つの肩書を持つ取締役と対立し、彼の言説を一つ一つに反論し、その上でこう追い討ちをかけたためである。「あ…

空虚

いつも本屋に行けば、飛ぶ鳥を落とす勢いで完全にハイになっている経営者か、明らかに躁状態で言動がラリっている心理学者が書いたと思しき自己啓発の本がやたらと平積みされている。私のような懐古主義な人間は、顔をしかめてそこの横を通り過ぎなくてはな…

絶望

世間は平成最後の〇〇と囃し立てております。 いつの時代も御代が変わることになんらかの意味を求めるわけでありますが、現在の場合は恐らく最悪の平成時代からの脱却を仄めかすものでしょうか。私は平成という時代に多感な時期を迎えましたが、ちっとも社会…

たわけどものたわ言

マクロン政権が燃料税の引き上げを宣言したことに端を発するこの度のデモは1968年にあった五月革命に匹敵する規模という。フランス全土に反グローバルの動きが本格的となり、ヨーロッパ全体がナショナリズムへの回帰を計るのは確実で、反政府デモは、更に隣…

私は悪魔

私の奇怪な性格故によく精神障害であろう人と関わる機会がある。 例えば、「私何故不幸なのだ?」と不平不満を述べる若い女。袖をまくった片腕にら見るに耐えられぬリストカットの痕があった。 仔細に話を聞けば、大声では言えないが、結局、自分のせいやん…

終わりの始まり

駅前に立つ政治家がする演説ほど虚しいものはない。多くの人間が耳を傾けて立ち止まることなく通り過ぎていく。政治は所詮、金持ちの享楽、いわば、大衆人の戯れ、彼らがいう全ては、絵空事に過ぎず、グローバリズムが末期的症状を呈していてもお構いましに…

昨日、季節の変わり目で必ずや誰もが一回は患う風邪のために病院に行けば、たまたまそこで診察を受けていた叔母は、症状とは関係のない事柄について老医者に大声で訴えていた。 「私は辛いです、母が死んで一切のことが辛く重くのしかかるのです。遺産の手続…

盆休みの雑記

我が家族の8050問題の原因の浅薄さには驚くことばかりであるが、現実であるから仕方がない。私の根本に、この問題が大きく横たわっている以上、目を逸らすわけにはいかないのだ。両親の弟妹のいずれも精神疾患によって人生を台無しにされ、もはや誰かの庇護…

祖母の死

祖母が死んだ。五月のある日、仕事から家に帰ると、玄関すぐにある応接間にベットを広げている叔母はうなだれていた。「お母さんの様子がおかしい、反応もないし…。でも電話の充電も切れているし、連絡のしようがなかった。居間に入って見てきてほしい。」リ…

祖母が亡くなった後、代わって私が叔母の面倒をみることになった。 膨大な遺品整理をしながら、双極性障害の叔母の面倒をみるのは容易ではない。病識がないというのがこの双極性障害の特徴で、殊の外、これが今の生活の足かせとなっている。何せ自分が病気で…

近未来のような

深夜の喫茶店。 若い女が一人、誰とも一緒にいないのに、化粧したり指先を弄ったりして絶えず口を動かしている。夢遊病患者のように彼女の視線は陶酔しているような感じで、周囲に配慮する余裕もなさそうにみえた。側から見て異様にしか見えない。 そしてよ…